ドラマ陸王原作小説第2章のあらすじネタバレと感想考察



ドラマ陸王原作小説第2章あらすじネタバレ

宮沢が地下足袋をランニングシューズに改良するというアイデアを話すと、富島は気乗りしない様子を見せる。

こはぜ屋が過去にマラソン足袋で失敗したことがあること、余計な出費が増えることを心配しているようだ。

それでも宮沢は時代の流れがまた、足袋に向かっていると感じていて諦められない。

埼玉中央銀行の坂本に同じ話をすると、こちらは興奮気味に賛成してくれる。

 坂本の提案で、まずは走ることについてランニングのインストラクター、有村融に話を聞くことになった。

有村は今のランニングシューズがヒール着地を誘発していることで足を痛める人を増加させているのではないかと話し、故障が少なく、早く長く走ることができる、ミッドフット着地の走り方にしてくれるマラソン足袋を肯定してくれた。

話を聞いて「ランニングを始めたい」と言った宮沢に対し、有村はまずは散歩から始めることを勧める。

いきなり無理をしないで少しずつ始めることが、ケガをしないで長く続けるコツだ、と。それは会社の経営にも言えることだと感じる宮沢。

3月のまだ寒い日曜日、宮沢は息子の大地と京浜国際マラソンを見に出かける。

マラソン大会の盛況ぶりとマラソン人口の多さに驚く中、ダイワ食品の茂木と、ライバルである毛塚が目に留まる。

二人はかつて箱根の五区で1位2位を争うランナーだったが、茂木は足を痛めて途中棄権してしまう。

マラソン足袋の開発チームがついに発足される。

メンバーは係長の安田、縫製課リーダーの正岡あけみ、息子の大地。

埼玉中央銀行の坂本にもオブザーバーとして参加してもらう。

富島は気乗りしないながらも、昔こはぜ屋が売り出していたマラソン足袋『陸王』を出してきてくれる。

それがそのまま新商品の名前となった。

4月、開発チーム初めての会合が開かれ、メンバーは前向きな様子で滑り出しは順調のように思われた。

陸王のコンセプトは怪我や故障をしにくいミッドフット着地を実現するシューズ。

売りは裸足感覚と軽量化、足袋独特のフィット感。

デザインには勝虫であるトンボをワンポイント代わりに採用。

使用する紐も勝色と言われる藍色と決まった。

ソールは地下足袋で使う生ゴムを貼りつける仕様で、陸王作品第1号が製造されたのは初会合の2週間後である。

試作品を実際に履いて走ってみると、課題が次々と見つかった。

足袋の又部分が痛くなる、足への衝撃がダイレクトすぎる、踵が詰まり過ぎている、など。

それでも、最初に足を入れた時のフィット感の素晴らしさなどの長所もわかった。

大地は就職活動に行き詰っており、こはぜ屋の仕事でミスが続いていた。

そのせいで従業員間もぎくしゃくしはじめており、宮沢は大地に真剣に仕事をするつもりがないなら就職活動に専念するよう突き放す。

試作を重ねた陸王を有村に見てもらうと、ファッションとしてはありだが、ランニングシューズとしては厳しいと言われてしまう。

ソールの耐久性が低いことが問題で、ミッドフット着地を身に付ける用の矯正用シューズとしての売り方を提案される。

また、まずは実績を作るという意味で、名前が売れているダイワ食品の茂木裕人に使ってもらってはどうかという寝耳に水の意見が出たのだった。

ドラマ陸王原作小説第2章感想考察

漠然としたアイディアだった「地下足袋をランニングシューズに」というランニング足袋の構想が、現実味を帯びていく過程が描かれていて文字通り目が離せない。

新しいものを作っていく現場の興奮や不安感がまるで自分のものかのように感じられるのは、社長という責任ある立場、経理という土台を守る立場、いいものを作りたいという職人の立場、アドバイザーや出資者など、いろんな立場の人たちがリアルに描かれているからだと思う。

きれいごとばかりではない。弱さや打算も含めてきちんと表現されている。

そこに自分の立場を反映させて読むからこその、臨場感。

 さらに、走り方から猿人や原人の共存や絶滅のことにまで話が広がっていくおもしろさがある。

正直、自分がどんなふうに走っているのか考えたこともなかったし、走ることの研究にしても、ヒトの成り立ちから考えている人がいるなんて思わなかった。

しかも、その話すべてがランニング足袋の製品化を後押ししている。

ただの思い付きに根拠が加わって、『陸王』のコンセプトになっている。

陸王の開発には、会社の生き残り以上の必然があるのではないかとさえ思えてくる。

ここまで読んだだけでも、ランニングに興味もないのにランニングシューズを見に行ってみたくなっている。

もし今度靴屋さんを通りかかったら、たぶん今流行りの靴の形をチェックしてしまう。

きっと、踵が厚いとかこれはソールが薄いとかいう視点で見てしまうと思う。

宮沢社長じゃないけれど、少し走ってみようかなと思ってしまっているし、マラソンを実際に見に行ってみようか、なんて考えてしまっている。

少なくとも、来年の箱根駅伝をテレビで見るくらいはするはずだ。

実際に陸王の試作品を作って試行錯誤し、販売について現実的に考え始めたところで故障中のランナー、茂木との接点が生まれていく。

そんな雰囲気を醸し出して2章は終わる。

それもまた、これからの展開を予感させ、次のページを読んで確認したい衝動に駆られるのだ。

就職活動に失敗し続けている大地のことも気にかかる。

就職活動が上手くいかない事から仕事にもミスが出ていて、さらに他の人に責任転嫁してしまう。

自分に対するイライラが、よくない形で周りに影響を出しはじめている。

就職活動中の人だけじゃなく、仕事がうまくいかない、プライベートが充実していない、何か満たされないものがあってイライラしてしまう、それがさらなる悪循環を招いてしまうといった経験は、誰でも1度はあるんじゃないかと思う。

だからこそどうにか、その悪循環から抜け出してほしいと応援したくなる。

陸王のこれからと共に、注目したいところだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加