ドラマ陸王原作小説第4章のあらすじネタバレと感想考察



ドラマ陸王原作小説第4章あらすじネタバレ

 光誠学園でのコンペに惨敗した陸王。

宮沢はこはぜ屋が越えなければならない壁、実績のなさとソール開発問題に頭を悩ませていた。

しかし、このコンペをきっかけに町村学園から陸王の注文を受けることになり、商売の不思議な縁を感じるのだった。

 それでも、仕入れ代金がかさむことに富島がいい顔をしないことに加え、陸王を茂木に履いてもらうことが現実的に難しいこと、他ではまねできないような特徴的で機能的なソールをどうやって見つけるのかなど、問題は山積みである。

 どうにか始まった陸王の生産は、材料の到着が遅れたことで躓きながらも、縫製課員の頑張りによって新規事業の初日を乗り切った。

その大事な時に就職活動で抜けたまま戻ってこなかった大地。

叱りつけようとした宮沢は、思いのほか落ち込んでいる大地にかける言葉を見つけられずにいた。

まだ見えない会社の未来を見据えようとする宮沢の元に、最高齢富久子さんが入院したとの知らせが入ったのはその三日後。

心臓が悪かったのを隠して働いていた上に、無理な残業を重ねたことが原因だった。

退院まで一か月ほどかかる。

難しい工程を誰が代わりにやるかという問題は、富久子さんの愛弟子である仲下美咲がどうにか引き継ぐことで解決したが、生産状況は順調とは言い難い。

踏ん張ってくれと願うしかない宮沢であった。

 一方の茂木は、他の選手とは別メニューをこなしながら、村野とシューズの見直しを考え始めたことで救われた気持ちになっていた。

村野の提案はこはぜ屋にもらったシューズの形状に近い。

陸王の製品コンセプトがあながち間違っていないとわかり、茂木はこはぜ屋に対する認識を新たにする。

 しかし、アトランティスの営業部長である小原は、故障した茂木をあからさまに無視するような態度をとっていた。

そして村野に対しても、茂木へのサポートを打ち切るよう圧力をかける。

靴づくりの基礎があり、スポーツシューズの分野で経験を積んだ村野は、カリスマと言われるほどの実力者でありながら会社では冷遇されている。

好きだからと今の境遇に我慢しながらシューフィッターを続けていた村野ではあったが、目先の利益しか見ない小原との溝は日に日に深まっていく。

 そんな中、茂木は小原から「スポンサーから外れる」と決定的ともいえる発言をされる。

そのことで村野と小原の関係はさらに悪化し、茂木の村野に対する信頼もなくなった。

投げやりになった茂木は、アトランティスのシューズを床に投げ捨て「このシューズはもう履かない」と決意する。

富士五湖マラソン開催日、サポートに回った茂木はライバル毛塚の活躍を目の当たりにし、毛塚の方も茂木を過去の選手と見限った態度をとる。

そして村野も、自分を信頼せず現場に口出しをするうえ、管理が杜撰だと責める小原に対して決別を予感させる言葉を吐き、会社を辞めることを現実的に考え始める。

ドラマ陸王原作小説第4章感想考察

 4章ではさらに、アトランティスのシューフィッターである村野が表舞台に出てくる。

ランニングシューズの現場ではカリスマと呼ばれ、選手たちから厚い信頼を寄せられているものの、会社の待遇はよくない。

特に直接の上司に当たる営業部長、小原の人を見る目のなさと結果至上主義は、わかりやすい悪役といった感じで見ていてギャクにすがすがしいほど。

 この村野のように、実力がありながら埋もれていしまっている人というのは結構いるんじゃないかと思う。

結局人は自分が一番大事なもの。

その一番大事な自分が、人との付き合いを大事にしたい、誰かの幸せが自分の幸せだと思っているのなら、その人は他の人から見ても素晴らしい人だろう。

でも、自分が認められることが一番大事で、自分の目的のために邪魔なものがあれば躊躇なく削除する。

そういう人は、はたから見ればきっと小原のような人間なんだと思う。

悪者になろうと思ってなる人なんてたぶんいない。

でも、それでも悪者になってしまう人はいる。

人はしょせんひとりで生きているわけではなく、周りの人間と関わりながら、影響を与え合いながら生きていくものだからだ。

 人はそれぞれ自分の生き方に責任を負わなければいけない。

自分のことしか考えない人間は、人の助けなんか期待するべきじゃない。

人を助けないどころか、誰かを踏み台にするような人間は、きっといつか誰かの踏み台になる。

逆に、人のために生きる人のまわりにはたぶん、同じように人のために生きようとする人が集まるし、困ったときには助け合って生きることができると思う。

 4章はそんな人間模様を見ることができる。

会社や人に見切りをつけようとする人、縁がなかったとがっかりしたところから思わぬ縁が繋がる不思議を感じ、会社のため、まわりの人間のために頑張る人たちがいる。

そして、認められずに苦しむ姿も。

人と人が関わり合うからこそ苦しい、というのは現実の世界でもとても多い。

それでも、その苦しさを知っているから人の優しさに救われるということもある。

人と人が関わり合って、そこから生まれる新しい縁もある。

 どこかでは必要とされなかったものでも、本当に価値あるものならば、巡り巡ってもっと活躍する場を与えられる。

それは、人にも物にも言えること。

今は苦しい決別の時であっても、ちょっとしたきっかけで人の縁は繋がっていくもの。

苦しい時にも切れなかった縁、苦しい時に繋がった縁は、いい時にはきっともっと太くて強い縁になる。

苦しい中でも希望が見え隠れする、おもしろい章だと感じた。

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