ドラマ陸王原作小説第14章あらすじネタバレ
新年早々、病気で長期離脱していた富久子さんが復帰。
ニューイヤー駅伝での茂木の活躍から、陸王の注文が増えることを期待していた宮沢だったが、マスコミは毛塚が不調だったから茂木に負けたという姿勢で報道をしていた。
改めて、人に頼らず自分たちで注目を集めるしかないと開発メンバーは覚悟を決める。
タチバナラッセルの橘社長は苦境に立たされていた。
アトランティスから専属契約の話がきていて、それを受けることは会社が飛躍するチャンスであるということに間違いない。
しかし、こはぜ屋との取引を続けることはできなくなり迷惑をかけることになる。
ニューイヤーマラソンで宮沢たちの熱意を知ったばかりなのに、信頼を裏切ることになる。
それもこれも、ただこはぜ屋や茂木、村野を敵視している佐山と小原の私怨のせいなのだ。
タチバナラッセルからアッパー素材の供給が止まるかもしれないという情報は、早い段階で大橋からこはぜ屋に伝わった。
宮沢は橘を説得しに行くが、橘の方も悩んだ末の決断だという。
上場を見据えていたこともあって、株主にはベンチャーキャピタルも名を連ねていて、彼らを納得させるためにも大口の契約が欲しいのだった。
三月までにできるだけの素材を提供してくれることにはなったものの、宮沢の方でも今後何があろうと取引はしないとはっきり訣別の言葉を口にしたのだった。
新しいアッパー素材の供給元を探すことになったが、宮沢一人ではまわりきれない。
そこに大地が立候補する。
技術的な事には詳しいし、面接で断られるのにも慣れている、それにうまくいきそうだったら社長にバトンタッチすればいいということで、富島からも認められて大地と宮沢で素材元探しをすることになった。
大地は中学時代からの友人である広樹と飲みながら、仕事や就職活動について話をする。
広樹は大手企業に勤めており、採用活動に参加した経験があるからか、どこか上から目線の意見を言う。
しかし、大地がメトロ電業の書類審査に通った話を始めると様子が変わってくる。
メトロ電業が業績も好調な優良企業だからということもある。
さらに大地がこはぜ屋で関わっている新規事業のことや今後調達担当をやることになったことなどを話して聞かせると「お前変わったな」「今度の面接行けるかもな」ぽつりとつぶやく。
大地の方は、安定した大企業へ就職した方が有利だと思いながらも、こはぜ屋での仕事の面白さに気付いて、どちらを選ぶべきか悩み始めていた。
最後に広樹が言った「世の中に会社なんていくらでもある」という言葉は、今の会社への不満や居続けることに苦しさを感じている自分自身への言葉のように感じられた。
ドラマ陸王原作小説第14章感想考察
全体を通して「世の中甘くないな」と感じた章だった。
ニューイヤー駅伝の興奮も冷めないままに、陸王の注文が殺到したらどうしようなんて思っていた開発メンバー。
しかし、毛塚を同世代のトップランナーとして位置付けようとするマスコミは、体調不良だったから区間賞を逃したと毛塚目線での記事ばかり。
陸王どころか、毛塚を抜いて大活躍だった茂木さえもほとんど注目されていなかった。
そしてアトランティスからの嫌がらせもひどい。
同業他社には素材を提供してはいけないという専属契約をタチバナラッセルと結んで、こはぜ屋に大ダメージを与えようとしている。
失礼なのは、タチバナラッセルの技術や品質を見込んで契約しようとしているわけではなく、あくまでもこはぜ屋をつぶそうとしてのことだというところ。
大企業のプライドなのか、ただ単に佐山と小原の人間性の問題なのか。
さらに、こういうことって現実にありそうだと思えてしまうのが本当に残念。
アトランティスの場合は大げさかもしれないけど、多かれ少なかれ、自分一人の感情で動いてしまう人間って結構いる。
しかも、会社のためにやったとか自分を正当化して、相手がどう思うかには考えが及ばない。
もちろん、自分が相手の立場だったらどうかなんて、想像してもみないんだろう。
それで間に挟まれる橘社長が一番可哀想だ。
自分の感情としては、やっぱりお世話になっている人に迷惑はかけられないと思っているはず。
それでも、株主や会社のことを考えると、いい話があるのにそれを蹴るというわけにはいかないのだろう。
自分の会社なのに、自分がやりたいようにできないというのは辛いだろう。
そして大地の友人である広樹のことも気にかかる。
広樹は自分自身が会社でうまくいっていないから、大地に対して少しあたりがきつかったんじゃないかと思う。
就職するのかしないのかよく分からないままに親の会社を手伝っている。
就職活動も真剣にやっているのかわからない。
自分が必死になって頑張ってもうまくいかない、そんな時にやる気がなくてプラプラしている人間が近くに居たら、やっぱり腹立たしい気持ちになるだろうな、と思う。
しかも、就職できなくても困るわけじゃない。
うらやましい気持ちもあるのかもしれない。
そんな大地が、今までと違って生き生きと仕事の話をする。
しかも、自分が行きたいくらいいい会社の書類選考にまで受かっている。
俺もそういう会社で働くことができるだろうか、そうグラグラ気持ちが揺れたとしても仕方ないんじゃないかと思う。
天職だと思える仕事ができる人は、本当に一握り。
だから、天職を見つけたいと思うか、仕事とはそういうもんだと割り切って働くかは、それこそその人次第ということになるんだろう。