ドラマ陸王原作小説第7章あらすじネタバレ
元銀行員坂本は、正式に東京キャピタル株式会社に就職。
陸王プロジェクトの方は宣伝のために「チームこはぜ屋」を作り、みんなで陸王を履いて駅伝大会に参加する。
結果は、地下足袋みたいという感想に落ち込みながらも、販売、長期貸し出しモニター募集ともに満足できるものになった。
宮沢は契約内容について改めて飯山と話し合う。
特許で製造した素材、シルクレイを使用するにあたって、使用料は一足あたりいくらで払う、販売価格を見直す、3年間の独占販売、そして飯山には技術顧問という形で協力してもらう、と決まる。
最後に問題だったシルクレイ製造の設備は、飯山が昔作った製造機を賃貸で使わせてもらえることになった。
材料の繭も、飯山のツテで供給ルートを確保することができた。
しかし、飯山との契約に経理の富島は否定的な態度をとる。
一度会社をつぶした人間は、同じことを繰り返すものだから、と。
銀行の追加融資も、リスクばかり見て新規事業を評価してもらえず断られてしまう。
結局宮沢は自身の定期預金を解約することで資金を捻出するが、銀行はいい顔をしない。
一方、茂木が別メニューから復帰したことで、小原は「サポートを打ち切った選手が活躍したらどう責任をとるのか」と村野に言いがかりをつける。
自分の非を認めず人に責任を押し付けようとする小原への不満、その小原を評価し続けるアトランティスという会社への不信感。
さらに自分が満足できるような仕事をすることもできない現状から、村野は長年勤めた会社を辞めることにした。
大地はというと、面接慣れするにつれて、面接をクリアするためのうそをつけるようになってきていた。
その一方で、面接用に作られた自分と本当の自分の間にある矛盾に耐えられなくなってもきていた。
そんな時、何気なく面接官が言った「継ぐ気のない会社に入ったのは、君にもお父さんにとっても不幸だったんじゃないか」という一言が、大地に深く突き刺さるのだった。
飯山の下に誰をつけるかという問題に、安田は工学部卒で電機や機械に詳しい大地にまかせてみてはどうかと提案する。
渋る宮沢だったが「いついなくなるかわからないこそ、いい仕事させてやろう。大地のためになるし、やる気も出るのでは」と説得される。
飯山は、こはぜ屋との打ち合わせがほぼ思い通りになったことに安堵する。
将来化ける可能性があるこの挑戦も、心地いいものに感じていた。
しかし、家に戻る途中、再度金融業者と見られる人影を確認し、ちょうど居合わせた妻の素子と共に緊迫した時間を過ごす。
そんなこともあってか、こはぜ屋での仕事が決まったと伝えた時の素子の涙を見て、飯山は誰にともなく「もう一度、やり直すか」とつぶやいた。
ドラマ陸王原作小説第7章感想考察
第七章を通して、みんな収まるべきところにおさまりつつあるな、という印象を持った。
坂本は転職して新たな道を歩み始め、飯山がこはぜ屋で仕事をすることになって、茂木は別メニューから復帰した。
村野がアトランティスを辞め、大地は飯山の下で仕事をすることになりそうだ。
ここからみんながどんなふうに関わりあっていくのか、人間模様が気になるところです。
人間関係に問題がありつつも、全体としてはいいニュースが多い。
陸王は地道な宣伝活動で結果を出しつつあるし、飯山との契約でソールについてはどうにかなりそうな雰囲気がある。
茂木は故障からの復帰なのだから、これから大変なことはあるだろうけれどとにかくよかった。
村野さんに至っては、長年我慢し続けた職場にやっと別れを告げられてスッキリしたのではないかと思う。
どんな仕事にも言えることだと思うけれど、好きなだけじゃやっていけない。
どんなに好きで天職だと思っていても、お金にならなければ生活していくことはできない。
気の合わない上司や同僚にねちねち嫌味を言われ、精神的に参ってしまったら仕事どころではない。
これは人によって感じ方が違うかもしれないけれど、人に評価されなければ虚しいだけではないだろうか。
なによりも、会社を辞めたり転職したりすることで解決する問題ならば、無理して我慢し続けることなんてない。
自殺してしまったら、もう元には戻れないのだから。
そんな社会問題にも触れながら、陸王開発プロジェクトは大きく前進し始めている。
そんななかでも、気にかかるのは飯山の所へちょこちょこ出てきている金融業者の陰。
いつかなにか大きな事件につながりそうな予感を漂わせつつ、つかの間の一息といったところだろうか。
ずっと耐え続けていた素子が、こはぜ屋の仕事が決まったと伝えた時に見せた涙。
そして、それを見た飯山の心情を考えると、どうか何事も起こらず、無事でありますようにと思ってしまう。
もう一度、やり直せますように。そう祈らずにはいられない。
そしていまだに就職先が決まらない大地。
こはぜ屋での仕事もイマイチだし、就職のためにつく小さな嘘に苦しむ不器用っぷり。
真っ直ぐな性格だからこそ、苦しいのかもしれない。
それでも、大地を思う人たちのために頑張って欲しいな、と思う。
安田の「いついなくなるかわからないからこそ、いい仕事させてやりましょうよ。きっと大ちゃんのためになる」という言葉、そんなふうに見守ってくれる人がいることはすごくラッキーなことではないだろうか。