ドラマ陸王原作小説第15章あらすじネタバレ
茂木は『月刊アスリート』からインタビューを受ける。
でも結局毛塚選手に絡めた質問をされ「結局、そこか」と思いながらも正直に答える。
京浜国際マラソンでは、リベンジというより、リセットして新しい自分のために走りたい。
故障の原因だった走法も変えたし、シューズも変えた。
過去そのものとの訣別と言ってもいい、と。
そして、陸上競技人生がかかっていると思っている、と締めくくった。
アッパーの素材探しは難航していた。
うまくいかないことが続く脱力感が宮沢を襲う。
現状を打破するためにはなにか起爆剤が必要だ。
そう感じていた時に、シルクレイの製造装置が復旧不可能なほど故障してしまう。
新たに量産用の機械を製造するには一億円かかる。
富島にはシルクレイ関連の事業を諦めろと言われてしまうのだった。
設備投資の件で家長支店長を交え、担当の大橋と話をする宮沢。
家長からは『貸すも親切、貸さぬも親切』ときには経営者の勇み足をたしなめ、計画を見直してもらうのも銀行の仕事だと融資を断られてしまう。
大地はメトロ電業で面接を受け、面接官から今まで聞いたことのない前向きな発言を聞き、明確な手ごたえを感じていた。
宮沢は飯山、村野と今後のことを話しあった。
飯山は「銀行が金を貸してくれない時の経営者の気持ちはよく分かる」と宮沢の肩を持ってくれるが、村野からは「生きるか死ぬかの覚悟があるのか」と厳しく詰め寄られる。
飯山も最後には、理想と現実に板挟みされたとしても自分で終わりを決めるな、と厳しくエールを送るのだった。
『月刊アスリート』に掲載された記事は、茂木にとって本当に自分が話したのかと疑わしいほどの内容になっていた。
毛塚の引き立て役としての扱いだ。
抗議しようとした茂木に監督の城戸は「世の中の意見が気に食わないんなら、力でねじ伏せろ。
言い訳できないくらい徹底的に打ちのめせ。
お前が納得できる状況は、お前の力で引き寄せるしかない。死ぬ気で走れ」と茂木以上に怒っている様子の城戸。
結局は自分でどうにかするしかないと、覚悟を決める茂木なのだった。
村野は茂木に陸王を供給できなくなるかもしれないことを伝える。
結果的にアトランティスの佐山が言っていた、こはぜ屋が小さな会社だから危ないという信用情報が正しかったことになる。
茂木は激しく動揺した。
宮沢が相談した坂本は「社長が新規事業を継続したいのか、したくないのかが一番の問題だ」という。
そもそも、従来の足袋製造だけでは限界だと思ったからこその新規事業だったのに、新規事業を諦めれば安定があると思ってしまっていた宮沢。
だが、新規事業を継続するにはどうしたらいいのか。
その問いに坂本は「会社を売りませんか」と言いだしたのだった。
ドラマ陸王原作小説第15章感想考察
ここでまた、アスリートの茂木と衰退業種こはぜ屋の姿がオーバーラップする。
区間賞をとるほどの活躍を見せたはずなのに、結局スター毛塚の引き立て役としての扱いしかされない茂木。
『月刊アスリート』のインタビューもひどいもので、自分が言った言葉のはずなのに、相手の都合がいいように解釈されたり切り貼りされて、人生をかけた決意すらも捻じ曲げられて伝えられる。
抗議しようとした茂木に対し、城戸監督がとった態度には親のような愛情が感じられる。
自分が言いたいことを言う場所、チャンスは自分の力でもぎるしかない。
死ぬ気で走れ。
頑張れ。
そんなこと、なかなか言えることじゃない。
悔しい思いをしている人間、打ちのめされている人間に対して、慰めの言葉ではなく厳しいエールを送る。
本当に相手のことを思っているからこそ、出てくる言葉なのだと思う。
同じように、陸王が思うように広まらず、タチバナラッセルには裏切られ、シルクレイの製造機が故障してしまう。
まさに踏んだり蹴ったりのこはぜ屋、宮沢にかけられる言葉もほとんどが厳しいエールの言葉だ。
富島や銀行のように、今までのような堅実な仕事をしていこう、と新規事業を否定される言葉もある。
それでも、ここで諦めてしまうんですか、あなたの覚悟はこんなもんなんですかと問いかけるような言葉の方が多い。
一緒に頑張りたいという気持ちもあるだろう。
図らずも苦渋の決断を迫られた橘社長と似たような立場に置かれた宮沢。
一緒に仕事をしてくれている人たちや茂木、お客さんを裏切ることになるかもしれない。
しかも、橘さんと違うのはいい話が今のところ全くないというところ。
どうしたら生き残っていけるのか、それを考える中で新規事業を立ち上げた時とは真逆の考え方に陥っていた。
先がない足袋屋がこれからも存続していくために立ち上げた新事業。
新しいことをやめたところで、寿命が少し伸びるだけ。
生き残るために勝負をかけたのなら、諦めるという選択肢はないはずなのだ。
どうやって成功させるか、その思考しかない。
それを思い出させてくれたのは、一番の戦友である坂本だ。
その坂本の口からは、衝撃の提案が飛び出す。
「会社を売りませんか?」正直、会社を残そうとしているのに、売ってしまったらそれこそ会社そのものがなくなってしまうんじゃないのか、と思う。
もちろん、銀行員でそれまでもすごい提案をしてくれた坂本だから、きちんとした理由や勝算があっての話だとは思うけれど、それにしてもぶっ飛んでいる。
分厚い陸王の本も終わりが見えてきた、ここにきてこの展開。
どう着地するのか気になるところでおしまいです。