ドラマ陸王原作小説第13章のあらすじネタバレと感想考察



ドラマ陸王原作小説第13章あらすじネタバレ

ニューイヤー駅伝にメンバー変更があり、六区で毛塚と茂木があたることになった。

アトランティスにとっては、2人がRⅡを履いてバトルすることになれば大宣伝になると大喜びの小原。

応援に来ていたこはぜ屋一同の前に、アトランティスの佐山と小原が現れる。

どちらのシューズを茂木が履くかということで一触即発の空気になるものの、結局茂木は陸王を選んだ。

茂木に詰め寄るアトランティスの2人に対し、村野はレース前の選手の邪魔をするなときっぱり言い放つ。

そのやりとりにいつまでもぷりぷり怒っているあけみさん。

いざ応援となると、休憩中にみんなで作ったという大きな横断幕を広げ大きな声援を送る。

スタートから3区まで順調だったダイワ食品は、4区のエース立原が苦戦し、8位にまで順位を落としていた。

茂木は厳しい展開に緊張しながらも、もう一度走れることへの感謝、戻ってこられたことへの喜び、感動を感じていた。

そしてスタート直前、こはぜ屋一同の応援が目と耳に飛び込んでくる。

それでも、タスキを受け取りスタートした茂木の感覚の中には、数十メートル先にいる先行走者のゼッケンしかなくなっていく。

茂木は着実に順位を上げている。

テレビに映る茂木とその走りを支える陸王を見て、開発メンバーは感動に包まれる。

陸王はこはぜ屋の魂そのものだ。開発に携わってきたものたちの夢が凝縮されている。

だからこそ、思う存分に走ってくれと祈る宮沢。箱根のライバルが舞台を移して再び激突、とアナウンサーは煽る。

そんな中で茂木は毛塚との接戦に勝ち、さらに順位を上げてアンカーにタスキを渡した。

ついにこはぜ屋は、シューズメーカーとしてのキャリアを踏み出した。

その茂木の活躍を快く思わないのは、アトランティスの小原と佐山だ。

これで無名の弱小メーカーが脚光を浴びるなんて許せるわけがない。

小原は佐山に、こはぜ屋をつぶすよう命令する。

国内最高の駅伝チームを決める戦いの行方を見守るこはぜ屋一同は、思いがけずタチバナラッセルの社長と出会う。

橘は微妙な態度をとっていたものの、宮沢はそれに気付かず「橘さん一筋ですから。もっといいシューズを作るためによろしく」と挨拶する。

ダイワ食品のアンカー平瀬は、自分の限界に挑み、歩んできた陸上競技人生の集大成のため、そこにピリオドを打つために走っていた。

大切にしてきたものと、自ら決別するために。

そんな平瀬の走りに、監督も部員たちも、茂木も言葉を失って涙を流す。

みんなの声援の中、死力を振り絞った渾身のラストランだった。

それを見守る橘に、アトランティスの佐山が声を掛ける。

新しい契約の話のようだが、橘はなぜか佐山を避けるような態度をとる。

また一波乱ありそうな気配である。

ドラマ陸王原作小説第13章感想考察

とにかくマラソンの面白さが語られている章。

私はマラソンをじっくり見たこともないし、そもそも走ることに興味がないので、マラソン観戦の面白さというのがわからない側の人間だ。

だから、マラソンに興味があってよく見に行ったりテレビで見たりしている、という人がこれを読んでどう感じるかは正直わからない。

こんなもんじゃないよ、本物は。とか思うのかもしれない。

でも、私はこの文章を読んで、少なくとも次回の箱根駅伝を見てみたいと思った。

なんならニューイヤーマラソンそのものも見たいと思っている。

 走る前から、何区を誰が走るのかという頭脳戦がある。

メンバー構成によって、どこでだれがどういう仕事をしないといけないのか、いつどこで勝負に出るのか、天候によって走り方、力の入れ方を調整するという応用力と知恵が必要だったりする。

ただ足が早ければ勝てるというわけではない。

そういうことも、なんとなく知っているつもりだったけれど、全然わかっていなかった。

自分の身近に、マラソンや走る競技について詳しい人がいないこともあるかもしれない。

村野がこはぜ屋の皆に解説するように、隣で丁寧に解説してくれる人がいたらもっとマラソン観戦が面白くなるのに。

 茂木と毛塚のデットヒートが面白いのはもちろんのこと、アンカーである平瀬のラストランも涙なしに読むことはできない。

ある程度歳を重ねた人間であれば、ほとんどの人が一度は挫折や夢を諦めた経験を持っていると思う。

平瀬のように、自分の限界に気付いて夢を諦めた人もいると思う。

怪我で二度と試合ができなくなってしまった、お金がなかった、タイミングが悪かった、諦めないといけなかった背景には、いろんな理由があるだろう。今までのすべてだったものを失ったり、諦めなければいけなかったりしたときに、きちんと終われる人はどれだけいるだろう。

未練を断ち切るため、真剣にその夢と向き合うというのは、どれだけの勇気があればできるのだろう。

それをやり遂げようとする平瀬の姿、それまでの平瀬を見てきた監督や茂木の涙、仲間たちの熱い応援。

体育会系の人だったら一度はだれかの立場で経験しているのではないだろうか。

挫折としてではなくても、部活の引退試合とか。

 マラソンの中だけで勝負があったわけではない。

実質的には茂木が頑張った結果ではあるけれど、アトランティスとこはぜ屋の戦いもあった。

ビジネスとしての応援と、人情的な応援という対照的な応援の勝負もあったかもしれない。

そしてまた、これからビジネス的な駆け引きがありそうな、不穏な空気を漂わせて次回に続く。

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